電気工事会社の施工管理者が、配置転換後の長時間労働の継続により過敏性腸炎、うつ状態、不眠症となり、休職中に自殺した事案

【事案の概要】

 本件は、電気工事会社の施工管理者(男性・死亡時42歳)が、配置転換後に仕事が集中して恒常的な長時間労働に従事したことから、胃痛、嘔吐や下痢の症状が出現したのですが、症状が残存したまま国内出張を命じられ、さらに予定外の人員削減が行われたことにより、事務所で倒れるなど体調が悪化していき、休職したものの、症状が回復することなく自殺をした事案です。

【自殺の原因】

 胃腸の症状が精神疾患の身体症状であったのか、それともストレス関連疾患(心身症)の過敏性腸症候群であったのかは判然としませんが、いずれにしても仕事の集中や人員削減による長時間労働によりストレスを溜め、休職するほどの体調悪化につながったと考えられます。

【予防のポイント】

 自殺した施工管理者は仕事が早く完成度も高かったことから、上司に期待されて困難な仕事を回されたことにより長時間労働を余儀なくされました。優秀な社員でも仕事が集中すれば疲労し、体調も崩します。とはいえ、本件では、上司が一方的に仕事を押しつけていたわけではなく、上司も長時間労働に従事していました。このような場合、労働時間管理を現場任せにするのではなく、人事部が労働時間を把握し、一人の社員に仕事が集中して長時間労働に従事しているようであれば、その部署全体の人員配置や業務量を見直すべきでした。

 体調を崩した社員のみの業務量を調整する場合は注意が必要です。本件はメンタルヘルス不調の時期が明確でないのですが、一人だけ業務量を調整されると、当該社員は逆にストレスを感じるおそれがあるからです。この場合は産業医や保健師に健康相談・保健指導を依頼し、また外部の精神科医に診療を依頼し、医療的観察の中で業務量の調整、年次有給休暇の取得、さらには休職を勧めていくことが肝要です。

 一人に仕事が集中するなど職場にゆがみがあると、メンタルヘルス不調や過労死が発生しやすくなります。職場環境を改善するには、社員と話し合いながら、業務量や労働時間の削減方法などの具体的な措置を検討する方が効果的であると考えます。


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