電話会社のシステム開発担当者が長時間労働により自殺した過労死事案

【事案の概要】

 本件は、携帯電話のデジタルカメラや音楽ダウンロードサービスのシステム開発担当者(男性・死亡時26歳)が、恒常的に深夜勤務や徹夜勤務を伴う長時間労働に従事したことにより疲労困憊となり、2001年3月1日に縊死(自殺)した事案です。

【自殺の原因】

 自殺の2か月前から開発業務に追われ、早朝出勤や深夜帰宅が続き、自宅に帰ると睡眠時間が3~4時間しか取れないので、会社に宿泊して深夜まで仕事をするようになり、自殺の1か月前は合計9日間会社に宿泊しました。帰宅時間は早いときで午後11時、遅いときで午前2時近くであり、自殺する1週間前から連続3日間の宿泊をして、所定休日である土曜日の午前9時頃にいったん帰宅し、同日の昼頃に自宅を出て出勤し、午後8時頃に帰宅しました。翌週の月曜日は欠勤して内科を受診したものの、火曜日と水曜日は深夜まで残業して日が変わってから帰宅しました。木曜日に初めて無断欠勤をして、自宅付近の山にある公園で縊死しました。

 音楽ダウンロードサービスのサービス拡張を開始する予定が年度末に迫っており、その期限に間に合わせるために深夜に及ぶ長時間労働に従事したことによるストレスが蓄積し、睡眠不足となり、自殺したことが原因と考えられます。

【予防のポイント】

 期限が切迫すると泊まり込みで長時間労働をするというケースは、システム開発の現場では珍しいことではありません。だからといって、深夜まで残業をして明け方に寝袋に潜り込むということを常態にするのではなく、余裕を持った期限設定をすることが初期の段階で必要です。また、期限が迫ってきて、業務量や業務負担が特定の個人に偏り長時間労働が認められるのであれば、その時点で業務を優先するのではなく、上司がコミュニケーションを取りつつ、人員の増加や業務量・スケジュールの調整、年次有給休暇の取得など現実に長時間労働を是正する措置が必要となります。特に新人・若手はストレス対処能力が低いので、産業医や保健師の健康相談・保健指導を実施しながら、就業上の配慮措置を検討・実行しなければなりません。

  長時間労働を防止する一助として、ストレスチェックを実施した場合には集団分析の結果を検討し、衛生委員会で調査審議するなどして職場環境を改善しましょう。


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