著作物の引用が認められる要件は?

 著作権が制限される一態様として、引用しての利用があります。引用とは、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の一部を採録することをいいます。

 著作権法は、①公表された著作物であること、②公正な慣行に合致すること、③報道、批評、研究その他引用の目的上正当な範囲内で行われるものであること、④著作物の出所を、その複製または利用の態様に応じ合理的な方法および程度により、明示することの要件を満たす場合は、著作物を引用して利用することができると定めています。例えば、既に書き上げた論文であっても机の中にしまっておいたのであれば、公表された著作物ではないので、引用することはできません。

 「引用の目的上正当な範囲内」について、裁判例は、①他人の著作物を利用する側の利用の目的、方法、態様、②利用される著作物の種類や性質、③著作権者に及ぼす影響の有無・程度等から判断しています。絵画鑑定書に当該絵画の縮小コピーを裏面に添付した行為につき、裁判例は、「引用」に当たり、複製権侵害とはならないと判断しました。

 出所については、著作物の題号、著作者名、出版社名、版数、ページ数を明示します。出所は引用された著作物であることが明瞭に認識できることが必要です。巻末に出典の一覧表を記載する方法は、どの部分がどの著作物からの引用なのかが分からなくなるのであれば、出所を明示したとはいえません。

 最高裁判例は、①引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができること(明瞭区別性)、②両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならないこと(主従関係)を満たす場合に「引用」と認めています。明瞭区別性については、引用の部分をカギ括弧でくくる等、どこを引用したのかが一目瞭然であることが必要です。主従関係については、引用した著作物が全体の中で主体性を保持しており、引用された著作物が引用した著作物の内容を補足説明しており、その例証、参考資料を提供していることが必要です。

 特に書籍の出版に際しては、そもそも引用に当たるかどうかを慎重に検討しなければなりませんし、引用する場合は、引用部分の区別、主従関係、出所の明示を確認してください。


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