従業員が職務上作成した著作物は誰が著作者となる?

 会社員が著作物を作成しても、その個人が著作者になるのではなく、法人である会社が著作者となり、当該著作物(職務著作物)の著作権だけでなく、著作者人格権も法人に帰属することがあります。

 著作権法上、職務著作物と認められるのは、①法人その他使用者の発意に基づくこと、②法人の業務に従事する者が職務上作成すること、③法人が自己の著作の名義の下に公表すること、④著作物の作成時における契約、勤務規則その他に別段の定めがないことの4つです。

 職務著作物が認めれているのは、法人が著作物の作成に資金を投じているのに、実際の作成者に著作権や著作者人格権があるとすると、複製や翻案が機動的にできなくなり、法人の著作物作成活動に支障が生じることになるからです。

 法人の発意については、雇用関係があり、法人の業務計画に従って業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合は、法人の具体的な指示あるいは承諾がなくとも、業務に従事する者の職務の遂行上、当該著作物の作成が予定または予期されていればよいというのが裁判例の考え方です。

 法人の業務に従事する者に当たるか否かについて、最高裁判例は、法人の指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、法人がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額および支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断するとしています。ですから、正規の雇用関係になくても、実質的に指揮監督下で労務を提供していれば業務従事者となります。

 また、職務上の作成については、職務の遂行上、当該著作物の作成が予定または予期されていれば、勤務時間外、勤務場所外で作成してもよいとされています。これに対し、場所の提供や経費の支払いをしただけである、また報酬が仕事の完成に対する対価であるということであれば、指揮監督下にあったとは認められません。例えば、専属でないプロカメラマンに出版社が指示した場所で写真を撮影させ、その経費を出版社が負担し、撮影後に報酬を支払ったとしても、撮影された写真の著作者はプロカメラマンであり、出版社ではありません。

 著作権法の規定があるといっても、企業としては、従業員が職務上作成した著作物につき、就業規則において、職務著作物の著作権および著作者人格権の会社への帰属を明記した方がよいです。そのほか、職務著作物の公表禁止、著作権譲渡禁止、その作成に関する秘密保持といった条項も入れておきましょう。


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