健康情報の利用目的の特定と目的外利用の禁止

 労働者の心身の状態に関する情報(健康情報=要配慮個人情報)を取得する場合、企業や嘱託産業医は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に基づき、利用目的を特定した上でその通知・公表・明示をしなければなりません。「事業の用に供する」といった抽象的な利用目的では足りず、労働者の健康管理や就業上の措置などを実施するとの目的をできる限り具体的に特定しなければなりません。

 利用目的の通知方法の例として、▼本人確認をした上で面談や電話で口頭により伝達する▼遠隔者には文書を郵送する▼常時使用している電子メールアドレスにメールを送信するなどの方法があります。公表は▼ウェブサイトでのアクセスが容易な場所へ掲載する▼事業所の掲示板へ掲載する▼パンフレットを配布するなどの方法があります。

 一方、明示は、契約書やウェブサイトの画面に利用目的を明記することをいいます。直接書面に記載された個人情報のみに適用され、事前の明示が必要である点が、通知・公表と異なります。

 企業や嘱託産業医は、法定の例外を除き、あらかじめ労働者本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、健康情報を取り扱ってはなりません。同意の例として、▼同意書に署名押印する▼ウェブサイト上の同意欄ボタンをクリックするなどがあります。ただし、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲(一般人が通常予期できる範囲)で利用目的の変更をすることはでき、その場合は本人に通知または公表すれば足ります。

 また、企業や嘱託産業医は、利用目的の達成に必要な範囲内において、データベース化された健康情報を正確かつ最新の内容に保つとともに、労働者が退職して一定期間が経過した場合など利用の必要性がなくなったときは、遅滞なく消去するよう努めなければなりません。特に健康情報は「要配慮個人情報」を含むので、個人情報の漏洩(流出)が起こると、退職者に対する損害賠償責任は免れなくなります。そのため、必要がなくなれば速やかに消去することが肝要です。実際の消去には注意が必要であり、紙はシュレッダーに掛ける、記録媒体を破壊するなどをし、消去時に情報漏洩が起こらないようにしなければなりません。


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