労働者の健康情報(要配慮個人情報)の取得・管理

 健康情報、すなわち健康診断の結果、長時間労働者に対する面接指導の結果、ストレスチェックの個人結果と高ストレス者に対する面接指導の結果等の情報について、労働安全衛生法は、健康診断やストレスチェック、面接指導の実施の事務に従事した者がその実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らすことを禁止しており、これに違反した者は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

 また、個人情報保護法は、顧客や取引先など外部に関する情報のみならず、労働者や株主など内部に関する情報も保護の対象としています。ですから、労働者の雇用管理に関する情報にも個人情報保護法が適用されるので、特に健康情報の取扱いには注意が必要です。

 個人情報保護法は、本人(個人情報によって識別される特定の個人)の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する個人情報を「要配慮個人情報」とし、個人情報取扱事業者が、法定の例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得したり(委託・共同利用による取得は別です)、第三者に提供したりすることを禁止しています。

 健康情報には、病歴、健康診断、健康測定やストレスチェックの結果、面接指導や保健指導を受けた事実・内容など「要配慮個人情報」を含むものがあるので、個人情報保護法上、個人情報取扱事業者は、労働者の健康情報を、原則として労働者本人から直接取得するか、本人の同意を得た第三者から提供を受けなければなりません。

 個人情報取扱事業者が健康情報を取得したときは、就業規則等においてあらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を特定して労働者本人に通知または公表する義務を負います。健康情報は、労働者の健康管理や就業上の措置を実施するために取得するのですから、利用目的はできる限り個別具体的に特定した方がよいですし、労働者本人の同意がない限り、これを超える利用目的の変更をすることはできないと考えられます。

 そして、個人情報取扱事業者は、労働者本人の事前同意がなければ、法定の例外を除き、利用目的の達成に必要な範囲を超えて健康情報を取り扱ってはなりません。同意の例として、同意書への署名押印、同意メールの受信、ウェブサイト上の同意欄ボタンのクリック、同意する旨の音声入力などがあります。

 また、個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、データベース化された健康情報を正確かつ最新の内容に保つとともに、労働者が退職して一定期間が経過した場合など利用の必要性がなくなったときは、法令による保存期限があるものを除き、遅滞なく消去するよう努めなければなりません。特に健康情報は「要配慮個人情報」を含むので、情報漏洩が起こると、退職労働者に対する損害賠償責任は免れなくなります。そのため、必要がなくなれば速やかに消去、破棄することが肝要です。実際の消去には注意が必要であり、紙はシュレッダーに掛ける、記録媒体を破壊するなどをし、消去時に情報漏洩が起こらないようにしなければなりません。

 健康情報の漏洩を防止するための安全管理措置を講じるとともに、従業者(役員、正社員、契約社員、派遣社員)に健康情報を取り扱わせるに当たっては、その安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

 健康情報を含む労働者の個人情報、取引先や顧客の個人情報の安全管理措置に関するご相談にも応じますので、お気軽にご連絡ください。


企業のためのメンタルヘルス対策室のご相談 労働問題に特化して20年の実績と信頼。つまこい法律事務所にご相談ください。 03-6806-0265 受付時間:平日 9:00~18:30(当日相談可能)JR御徒町駅より徒歩5分 ご相談の予約