インサイダー取引を誘発する情報伝達や取引推奨も処罰されるか?

 金融商品取引法は、情報受領者に内部情報を伝達した会社関係者または公開買付等関係者も処罰します(情報受領者がさらに情報伝達をした場合は処罰されません)。情報伝達により情報受領者のインサイダー取引を誘発するので、証券市場の公正性と健全性や証券市場に対する投資者の信頼といった保護法益を侵害するからです。

 情報伝達者も情報受領者のインサイダー取引の幇助犯が成立することがありましたが、金融商品取引法が改正され、情報伝達や取引推奨そのものに、会社関係者や公開買付け等関係者、情報受領者と同様に、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科され、または併科されるようになり、法定刑が上がりました。

 ただ、金融商品取引法は、「当該他人に利益を得させ、又は当該他人の損失の発生を回避させる目的」を要件として定めています。金融庁は、「目的」を欠く例として、①業務上の必要から取引先や社内の役員等と情報交換や情報共有をすること、②家族や知人に対し世間話として話すこと、③投資家に対し自社の経営状況や財務内容に関する広報をして自社への投資を促すこと、④一部の役員等が認識している事実を知らないで、他の役員等が取引推奨を行うことを挙げています。とはいえ、「目的」を欠く情報伝達も幇助犯に問われる可能性がありますし、刑罰は免れても、企業内では情報漏洩として懲戒処分の対象となります。

 ですから、企業としては、金融商品取引法違反の疑いがある情報伝達や取引推奨が発覚すれば、イメージダウンのおそれがあるので、役員や社員に守秘義務を課し、情報漏洩をしないよう教育することが必要となります。

 


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