メンタルヘルスケアのための職場環境改善

 メンタルヘルスケアのために職場環境の改善をするには、まずメンタルヘルス対策の方針や心の健康づくり計画を策定し、職場内での掲示だけでなく、社内報への掲載や社内メールでの一斉送信などの方法により労働者に周知することが必要です。

 職場環境を改善するためには、業務の適正化と良好な人間関係の2つを目標に設定します。

 まず業務の適正化について、労働安全衛生法65条の3は作業の適正管理を定めていますが、一連続作業時間と休憩時間の適正化、作業量の適正化が含まれるというのが行政解釈です。そのため、労働時間を把握することが必要となります。この規定は電通事件・最高裁判決(平12.3.24)が使用者の注意義務を導く法的根拠としており、使用者は健康障害が起こらない程度まで労働時間を削減する義務を負っているといえます。

 労働時間の把握と削減をする際には、労働者個人、職場集団、企業組織全体の労働時間数を把握し、各レベルでの改善策を検討する必要があります。

 そして、東芝事件・最高裁判決(平26.3.24)からすれば、労働者が長時間労働に従事している場合、使用者は、労働者からの申告がなくても、労働時間を適正に把握して、長時間労働を是正して健康障害を起こさないようにする義務を負っているといえます。待ちの姿勢では面談には来ないので、日頃からの職場巡視と声掛けが安全配慮義務の履行をするために必要でしょう。

 良好な人間関係については、意思疎通しやすい体制や環境を整備することが重要です。

 職場環境改善の取り組みをするに当たって、どうしても悪い結果が出た部門から問題点を指摘したくなりますが、それでは職場のモチベーションが下がる可能性があります。良い結果が出た職場を評価し、悪い結果が出た職場を責めずに良好事例を教示することが企業組織全体の改善につながるといえるでしょう。

 労使で知恵を出し合うためには衛生委員会の活用が重要となりますし、意思疎通しやすい体制や環境を整備することも重要です。

 また、職場集団レベルの改善だけでなく、個人レベルの改善も必要です。

 そのために、教育研修を重視しましょう。一例を挙げると、一般的なメンタルヘルス教育だけでなく、管理職や役員向けにコーチング研修、一般社員向けにハラスメント対策、アサーション研修、アンガーコントロール研修、キャリア研修などです。1年に同じ内容の研修を複数回実施して参加率を高めたり、次年度には新しい内容の研修を実施したりして工夫をしていることが肝要です。


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