解雇事由として何を定めればよいか?

 普通解雇は、懲戒処分によらない、使用者による労働契約の解除です。普通解雇をするには、就業規則に退職に関する事項と解雇の事由を規定しなければなりません。

 例えば、①業務外の事由による欠勤の継続、②業務災害による傷病補償年金の受給、③傷病による労働能力の低下、④勤怠の不良、⑤職務遂行能力の著しい欠如、⑥懲戒事由の該当、⑦事業の縮小・廃止その他経営上のやむを得ない事由などです。

 ③のうち、傷病による休職期間の満了については、解雇事由ではなく、退職事由に定めておき、定年と同じく自然退職とした方がよいです。就業規則上の解雇事由にするにしても、傷病の回復可能性があるならば、解雇をする前に休職に付して療養に専念させましょう。裁判例でも、躁うつ病の回復可能性を肯定して解雇無効としたものがあります

 ⑤については、能力・能率不足は労働契約上の債務不履行ですので、その程度が著しい場合を就業規則上の解雇事由としています。裁判例も、平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能率が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならないから、使用者としては、労働者に対し、さらに体系的な教育、指導を実施することによって、その労働能率の向上を図る余地があるのであれば、いまだ解雇事由に該当するとはいえないと判断したものがあります。これは一般的な労働者の場合であり、特定の地位、職種または一定の能力を条件として雇い入れられた労働者については、その能力、適格性が欠けると認められたときを解雇事由として就業規則に規定しておいた方がよいでしょう。

 ⑥については、懲戒事由があれば解雇するのではなく、懲戒解雇に至らない懲戒処分を繰り返す場合や懲戒解雇の事由があっても普通解雇を選択する場合を就業規則上の解雇事由と定めておいて、使用者の裁量を持っておいた方がよいです。

 ⑦はいわゆる整理解雇ですが、労働者の債務不履行があるわけではないので、経営上の理由はやむを得ない場合に限定すべきです。

 なお、採用内定の取消しや試用期間終了後の本採用拒否も解雇の一種です。上記の解雇事由とは別に、新規学卒予定者が卒業できなかったとき、指定書類を提出しなかったときまたはその重要部分が事実と相違しているときといった事由を就業規則に定めておきましょう。


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