労働者側請求対応の解決方針

 事実調査の結果、メンタルヘルス不調や過労死が長時間労働やパワーハラスメントなど業務によるストレスに原因があったのであれば、労働者や遺族の損害賠償請求には正当な理由があったことになりますので、企業としては陳謝することになります。逆に労働者側の請求に理由がないと判明したのであれば争うことになります。

 この「陳謝する事案」か、それとも「争う事案」かという企業責任の有無を決めるのですが、調査結果が判明したら、遺族の心情を理解しつつ、裁判に至った場合の影響を予測し、早期に方針を決めましょう。

 「陳謝する事案」であれば、早期に情報を開示して、労働者側の真意を汲みつつ、損害賠償をする方針で申し入れをした方がよく、企業として誠意のある解決案を示すべきでしょう。

 解決案を提案する場合、示談と裁判のラインをあらかじめ引いて交渉することになります。労働者や遺族がラインを大幅に上回った損害賠償を請求してくるのであれば示談による解決ができなくても致し方ないでしょう。

 「争う事案」であっても、裁判になると企業のイメージダウンにより売上の低下に影響するといった観点から、見舞金や解決金を支払うとの示談を申し入れる等の検討が必要です。新たな証拠が見つかるなどして方針決定の前提が崩れた場合は「示談と裁判のライン」を引き上げるといった早期の方針変更をする必要があります。

 示談交渉や裁判となり、紛争に発展した段階では、「信頼」というだけでなく、危機管理と企業防衛という視点を取り込んで検討しなければなりません。初期段階での「議論をしない」という対応をする必要はなく、反論すべき点は反論した方がよいです。その場合でも、反論の時期や表現によっては労働者や遺族の被害感情が悪化することがあるので、留意してください。

企業としては迅速な対応を第一とすべきですが、だからといって企業が解決を急ぎすぎると、その内容が企業にとって不利なものとなったり、逆に労働者側から解決水準を引き上げられて解決が遠のいたりすることもありますので、弁護士に助言を求めるなどして慎重な検討をしましょう。

 人事労務管理スタッフは交渉のプロではないので、弁護士に交渉を委任することがよい場合もあります。


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