生命保険会社の営業所長が、長時間労働、職場の人間関係、上司に厳しい指導や仕事上のトラブルにより飛び降り自殺した事案

 事案の概要

 本件は、生命保険会社の宮城県内にある営業所の所長(男性・死亡時35歳)がうつ病を発病し、1998年8月6日、マンション10階から飛び降りて転落し脊椎損傷を死因として死亡(自殺)した事案です。

 自殺の原因

 営業所の人間関係が悪化した職場環境の下で、複数の上司から厳しい営業指導を受けて長時間労働を継続していたところ、朝礼で仕事上のトラブルを上司から部下の面前で責任を追及された当日に自殺をしました。

 職場環境や人間関係が悪いのは慢性のストレス(デイリーハッスル=日常の苛立ち事)を生じさせます。これに長時間労働や厳しい営業指導によるストレスが加わると相乗的に作用し、ストレスが増幅していきます。そして、自殺当日の責任追及がトリガーとなり、自殺したと考えられます。

 予防のポイント

 営業では、売上目標が設定され、これを達成するために、時には強めに指導をすることも必要でしょうが、上司から厳しい営業指導を受けた結果うつ病を発病するというケースは珍しくありません。

 複数の上司から厳しい指導をされれば逃げ場がなくなり、長時間労働に追い立てられます。営業所長は長時間労働になりがちですが、現場の上司が労働時間を把握しないまま営業にかき立てるというのであれば、現場任せにせず、人事部が主体的に労働時間を把握すべきですし、営業所長が相談できる窓口を本社に設けておくべきでした。

 長時間労働を防止することはもちろんですが、会社としては、上司が部下に行き過ぎた指導をしないよう教育し、部下の変調を見逃さないように指導すること、メンタルヘルス不調を把握するための相談窓口を設置することが必要です。


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