公開買付けにおいてもインサイダー取引が禁止される?
金融商品取引法は、公開買付者等関係者のインサイダー取引を禁止しています。
公開買付けとは、発行者以外の者による市場外での株券等の公開買付けまたはこれに準ずる行為や、発行者による市場外での株券等の公開買付けをいいます。前者の例として、買付け後の株券等所有割合が5%を超える場合などがこれに当たります。後者の例として、株主との合意による株式の有償取得などがこれに当たります。
公開買付等関係者は、会社関係者と類似していますが、当該公開買付けの対象となる上場株券の発行者(役員・社員を含む)も加わります。情報受領者も規制の対象となることは会社関係者の場合と同様です。
公開買付等関係者は、公開買付者が公開買付けを実施することを決定した
こと、または公表された公開買付けを中止することを決定したことを知ったときに、インサイダー取引が禁止されます。
会社関係者でもインサイダー取引の例外が金融商品取引法に定められていますが、公開買付け等関係者の場合も同様です。例えば、氏名等の公告かつ公開買付届出書の公衆縦覧がされた場合や、情報受領日から6か月が経過した場合は、公開買付等関係者からの情報受領者の株券買付けがインサイダー取引の例外となります。前者は情報が周知されて一般投資家との情報格差が解消されたこと、後者は情報が陳腐化して買付けを規制する必要がなくなったことから、インサイダー取引規制の適用除外とされています。
近年、公開買付けにかかるインサイダー取引が増加する傾向にあります。公開買付けでは銀行や証券会社など関与する関係者が多くなるので、情報が拡散しやすいのです。企業としては、情報管理などインサイダー取引防止に向けた措置が必要となってきます。