固定合意・除外合意の効力が消滅することはあるか?
事業承継における遺留分の固定合意・除外合意は、次の事由が生じたときは、その効力が消滅します。
- 経済産業大臣の確認が取り消されたこと。
- 経営者の生存中に後継者が死亡し、または後見・保佐開始の審判を受けたこと。
- 固定合意・除外合意の当事者(経営者の相続人でない後継者を除きます。)以外の者が新たに経営者の相続人となったこと。
- 固定合意・除外合意の当事者の代襲者が経営者の養子となったこと。
1の消滅事由の例として、経済産業大臣が偽りその他不正の手段により確認を受けたことを理由にその確認を取り消す場合があります。
2の消滅事由のうち、後継者の死亡については、後継者である相続人が経済産業大臣の確認や家庭裁判所の許可を受けることを禁じています。これに対し、後継者とならない相続人が死亡したとしても、固定合意・除外合意の効力が消滅することはありません。その相続人の代襲者が相続人となったとしても、3の消滅事由には当たりません。
3の消滅事由としては、経営者が婚姻した、新たに子が生まれたといった例が挙げられます。新たな配偶者や子を加えて新たに固定合意・除外合意をすることはできます。
4の消滅事由は、後継者とならない相続人が死亡しても代襲者がその地位を承継するので除外合意は消滅しないのに対し、代襲者が経営者の養子となった場合にはその養子としての地位も取得するので、固定合意・除外合意が消滅することになるということです。
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