事案と受任前
事業者の債権回収事案ではありませんが、個人が銀行のATMで支店名を間違えて誤送金をしました。通常は、誤送金をした相手に銀行が連絡を取り、承諾が得られたら送金を取り消すのですが、送金先(個人)が届け出ている住所や電話番号が変更されており、転居先が不明で連絡が不能でした。ただ、カタカナでの氏名が判明したため、当職が代理人に就任して、被告を住所不明、カタカナの表記で、誤送金した金員の返還を請求する不当利得返還請求訴訟を提起することにしました。
弁護活動と結果
簡易裁判所に誤送金した金員の返還を請求する不当利得返還請求訴訟を提起するとともに、被告の氏名、自宅の住所、勤務先の住所に関する銀行に対する調査嘱託を申し立てた上で、裁判所と折衝してこれを採用させました。銀行から回答があり、被告の氏名および自宅の住所が判明したので、訴状の訂正を行いました。送金先の被告に訴状が送達された後、当職が任意に返還するよう交渉し、承諾してもらいました。無事、返還されたので、訴えを取り下げました。
解決のポイント
送金先の氏名と住所を知るため、やむを得ず不当利得返還請求訴訟を提起しましたが、本来は依頼者(原告)が誤送金したことに端を発するものであり、原告として法的に争う趣旨ではありません。当職が送金先(被告)の自宅まで行き、謝罪をした上で、任意に返還するよう交渉し、承諾してもらいました。無事、返還されたので、訴えを取り下げました。