労働契約の変更をめぐる労働者側同意の要否

 民法は、契約等によって発生・変動・消滅する権利義務関係の要件と効果を定めています。民法には雇用を定めた節が設けられていますが、労働契約も契約である以上、労務管理など労働相談を受ける場合も契約の観念を意識した方がよいでしょう。

 就業規則は「会社の法律だ」という意見がありますが、これは一面として間違っていないものの、現在は労働契約法に就業規則が規律されていることからすれば、就業規則は労働契約書ともいえます。労働条件を定めた就業規則を含め労働契約は労使の合意により決定され、または変更されるというのが労働契約法の原則ですから、企業としても、労働条件の設定や変更において労働者の同意(承諾)を得ることを常に意識しなければなりません。

 労働契約に基づき、労働者が労務を提供するためには、▽いつ(労働日・期間)、▽何時から何時まで(労働時間)、▽どこで(労務提供場所)、▽誰(労務提供先)に対し、▽どのような職務を行うのか(職種・業務内容)、▽「労働の対償」としていくら支払われるのか(賃金)が定まっていなければならず、この契約内容の解釈をめぐって個別的労使関係上のトラブルが発生するといっても過言ではありません。

 労働契約においても、労使の権利義務関係の発生、変動、消滅がありますが、特に変動、すなわち契約内容の変更をめぐって労働トラブルが発生することが多いです。

 企業の経営者や人事労務担当者が、契約の基礎知識を身につけた上で、労働者の同意を得るためにどのように対応すればよいのかを判断することは難しいので、労働契約の変更をする場合は、弁護士に早めに相談して、裁判例も踏まえた検討することをお勧めします。

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