貸金が60万円以下であれば少額訴訟、140万円未満であれば簡易裁判所の訴訟手続を利用することができます。和解ができる場合、借り主が争う可能性がある場合、裁判管轄が合意されている場合は、訴訟を選択することが考えられます。
これに対し、140万円以上であっても60万円以下であっても金額にかかわらず、支払督促という手続を利用することができます。支払督促は、金銭等の給付を目的とする請求について、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官が発します。支払督促は、債務者を審尋しないで発するので、簡易迅速な手続です。
債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは仮執行宣言が付され、債務者が仮執行宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、支払督促は確定判決と同一の効力を有することになり、債務名義となります。
ただし、支払督促は、債務者に送達しなければならず、債務者に送達されたときに効力を生ずるので、債務者が所在不明であれば手続が無駄になります。
また、債務者は督促異議を申し立てることができ、督促異議にかかる請求については支払督促の申立てのときに訴えの提起があったものとみなされます。請求金額によって、支払督促を申し立てた簡易裁判所か、その地域を管轄する地方裁判所で通常訴訟を行うことになります。争いがあるときは手続が無駄になるばかりか、遠隔地での申立てをすると異義後の通常訴訟も遠隔地で対応しなければならなくなります。
どの手続を執るのが適当なのかは、弁護士に相談の上ご検討ください。