労働契約が後から否認されないための企業の対応とは-労働者の真意に基づく同意を得るメソッド

 2020年に改正民法が施行されます。改正内容には契約に関する事項が多く、この影響もあるのか、最近の労働条件の設定・変更をめぐる裁判例においては、就業規則による集団的処理とは別に、労働者の個別的な同意が求められるようになってきました。

 例えば、退職金減額の効力が争われたケースの最高裁判決は、退職金の支給基準を変更することの同意書面に署名押印をしたのに、労働者の同意があったとは認められないと判断しました。本件では、当初、退職金を同一水準に保障するとの同意書案が職員説明会で配布されていました。他方で、同時に支給基準の変更も口頭で説明されていました。この事実経過から使用者側としては、職員には説明した上で同意を得たと認識していたわけですが、逆に区々となった使用者の対応は評価されませんでした。それでは、使用者の説明には何が足りなかったのでしょうか。

 配置転換についてみると、これを会社の専権事項と考えている経営者は少なくありません。リーディング・ケースともいえる最高裁判決が、労働者の個別的な同意を不要として、営業社員に対する神戸から名古屋への転勤命令が有効と判断しているので、このような考えを持つことは自然であるかもしれません。しかし、会社の配転命令権はなぜ発生するのかというと、それは労働契約です。配転は労働契約の変更に当たりますから、労働者の同意がない配転はリスクを伴います。

 特に労働者の健康状態をめぐる争いが増えており、抑うつ状態により欠勤や休職を繰り返していた中学校教諭を配転したケースにつき、鳥取地裁判決は、配転による病状悪化について損害賠償責任を認めました。校長は、健康状態が悪化した教諭に対し、「よかれ」と思って、生徒数の少ない分教室への配転を命じたのですが、この違法性が肯定されました。それでは、校長は配転に当たって何を考慮すべきであったのでしょうか。

 うつ病との関連では、休職した労働者が職場復帰をする際に降格や減給をすることがあります。東京地裁判決は、抑うつ状態により休職した労働者が職場復帰をする際に降格・減給された事案につき、使用者が一方的に降格することは人事権を濫用すると判断しました。そもそも減給を伴う降格について就業規則に根拠規定がなかったケースなのですが、仮に就業規則や労働者の同意があったとしても、うつ病によりパフォーマンスが悪いという理由だけで降格・減給をすると無効となる可能性があります。

 このように労働者の同意は取ればよいというものではありません。裁判例が指摘するキーワードは「自由な意思」です。特に労働条件の不利益変更の場面では、労働者に自由な意思を形成してもらうために、どのような説明を行い、何を配慮すべきであるのかが、労務管理において求められます。

 この感覚を磨くことが労働トラブルを防止するために必要です。その意味で、企業の経営者や人事労務担当者も、労使関係において契約の観念を意識する必要があるでしょう。

 そこで、本講座では、労働契約の発生・変更・終了の各場面で労働者の同意が問題となった裁判例を取り上げ、望ましい企業の対応を解説します。

◆民法上の契約とは?
◆一般法たる民法と特別法たる労働法
◆労働契約の基礎知識
◆労働契約の成立、権利の発生
◆労働契約の終了、権利の消滅
◆変動:労働条件(賃金)
◆変動:労働条件(職位・資格等級)
◆変動:労働日・時間
◆変動:職種・業務内容
◆変動:労務提供場所
◆変動:労務提供先
◆変動:契約期間
◆労働者が自由な意思に基づいて同意するために

【講演料】

 弁護士佐久間大輔の構成した内容をベースにした講演料は、3時間150,000円(消費税は別途付加)です。

 講演だけでなく、これを踏まえて従業員参加型のワークショップを開催すると、メンタルヘルスケアや労災事故防止に有効であるといわれており、時間延長も承ります。

 なお、交通費や出張日当が別途かかりますので、あらかじめご了承ください。


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