新事業活動コンサルティング

 新規事業の開発は、中小企業が外部環境の変化に対応するために取り組むべき経営課題となり得ますが、失敗することもあるので、経営状態が悪いからといって無理に取り組むべきではなく、経営状態が良いときに注力することが望ましいです。特に事業承継を受けた後継者は、本業を軌道に乗せ、従業員の人心を掌握した上で、自身の考える新規事業に着手した方がよいでしょう。ただし、本業が衰退業種である場合には、早急に全社一丸となって経営革新に取り組む必要があります。

 ところで、新規事業を開発するに当たっては、当該事業の事業性評価と適法性審査の両方を行う必要があります。

[事業性評価]

 事業性評価をして採算が見込めるかを把握しなければなりません。そこで、売上高、材料費等の変動費、人件費等の固定費を想定して損益分岐点売上高を計算します。特に投資を行う場合は、減価償却費、人件費、保守点検費や水道光熱費等の固定費が増加しがちですが、税引後営業利益と減価償却の範囲内で借入金を返済する、間接人員を増やさないことに留意します。そして、損益分岐点比率が100%を超えるか否かを分析し、黒字化できる売上高を計算します。

 利益が発生すると見込まれる場合、投資額、投資により生み出されるキャッシュフローや増加する費用の金額と期間から、税引後正味キャッシュフローの現在価値の合計額が投資額(の現在価値)を上回るか否かを分析します。税引後正味キャッシュフローを計算するときに事業計画の精度や信頼性に留意します。投資の経済性計算においては、投資によって将来得られる税引後正味キャッシュフロー(の現在価値)の合計額から投資額(の現在価値)の合計額を回収する期間を計算し、それが満足し得る期間であるときに、その投資案を選択するとの(割引)回収期間法や、税引後正味キャッシュフローを全て現在価値に割り引き、現在価値の合計額から投資額の現在価値の合計額を差し引いた金額がプラスであるときに、その投資案を選択するとの正味現在価値法などを用いて、投資案の安全性や収益性を評価します。

 利息の支払いや返済原資の調達が不要である内部留保ではなく、借入によって投資を実施する場合、借入金の返済金額が減価償却費を超えて多額になると資金繰りが苦しくなります。そこで、利息負担による収益性の悪化、負債比率の上昇による安全性の悪化を判断基準とし、これらの悪化を抑制することが必要であり、負債依存度を低下させるために投資額を精査します。ただし、一時的に売上高経常利益率や負債比率が悪化したとしても、営業キャッシュフローが増加するのであれば、直ちに投資案を棄却すべきではないので、ケース・バイ・ケースの判断となります。

[適法性審査]

 適法性審査をして新規事業に違法性がないことを見極めなければなりません。すなわち、新規事業を開始した後に法規制に違反することが判明すると、法規制に適合するように事業内容を改善するために、いったん事業を停止したり、改善に多大な費用や時間が必要となったりします。仮に規制所管庁から調査を受ける事態になると、行政罰や刑事罰が科されたり、法違反事実が公表されたりするなどの制裁を受けます。顧客から損害賠償請求を受ける可能性もあるでしょう。業法の要件を充足していなかったり、必要な許認可を取得していなかったりした場合も同様です。

 また、新規事業は適法であっても、契約書類に不備があれば、取引条件が不利になり損益が悪化して計画と乖離したり、顧客や取引先との法的トラブルが発生したりすることがあります。

 その結果、顧客や取引先、金融機関といったステークホルダーとの信頼関係が崩れてしまい、新規事業の展開が困難となるばかりか、中止に追い込まれる可能性があります。

 そこで、早い段階で新規事業や契約書類のリーガルチェックをしておくことが肝要です。

 弁護士兼中小企業診断士・佐久間大輔は、事業性評価と適法性審査のワンストップサービスを提供し、企業が迅速に事業展開する、または撤退するとの判断ができるようにします。

《コンサルティング(助言・提案)の概要》

  1. 新規事業のビジネスモデルや資金調達の方法だけでなく、会社の財政状態や経営成績、外部環境(機会・脅威)や内部環境(強み・弱み)、取引先や借入先、組織体制等についてヒアリングをし、経営実態を把握します。
  2. SWOT分析、損益分岐点分析や投資の経済性計算を行い、課題設定や事業戦略に関する助言、提案をします。
  3. 新規事業の適法性審査をし、必要であればグレーゾーン解消制度の照会書を作成するか、弁護士として代理人を務めます。
  4. 新規事業が法規制に抵触する場合、事業内容の見直し、業法への適合、許認可の取得、事業の継続または中止に関する経営面および法務面の助言、提案をします。
  5. 新規事業が適法である場合、事業計画、実行計画(アクションプラン)、計数計画の策定と実行に関する助言、支援をします。
  6. 新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上(付加価値額と給与支給総額の目標伸び率の達成)を図ることを目的にした中期的な経営計画である「経営革新計画」の策定に関する助言、支援をします。
  7. 経営管理体制や組織体制に関する助言、支援をするとともに、社内の実情に応じた文書の作成を承ります。
  8. アクションプランのモニタリングと見直しに関する助言、支援をします。

 

[Q&A]

 経営面と組織面の一施策については、次のページをご覧ください。

>> 「Q&A:中小企業の経営戦略

>> 「Q&A:中小企業の経営組織


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