人事部が注意すべき7つの落とし穴-休職・復職制度

 就業規則に休職制度があるからといって安心しないでください。その休職制度は怪我が想定されており、メンタルヘルス不調に対応しているとは限りません。

 休職や復職での対応を誤ると、メンタルヘルス不調となった労働者から安全配慮義務違反で損害賠償請求を受ける可能性があります。

 以下の7つの「落とし穴」が一つでもあれば、事前に休職・復職対応と就業規則の見直しをする必要があります。

 7つの「落とし穴」は代表例ですので、たとえ「些細な問題」と思われていたとしても、他にも問題点がありましたら、弁護士のコンサルティング(法的助言・提案)を受け、速やかに是正しましょう。

 そして、病休者には安心して療養に専念してもらい、適切な職場復帰支援を実施して、健康に働いてもらうことが企業にとって何よりも重要なことです。

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  >>「就業規則作成・変更リーガルサポートサービス

をご覧ください。

 

1. 休職制度のある就業規則において従業員の範囲を定めていないが、有期契約の労働者、パートタイム労働者、再雇用の労働者がうつ病を発病したので、休職扱いとせず、退職させた。

→就業規則の適用範囲を限定していないのであれば、非正規労働者であっても休職の規定が適用され、退職扱いは無効となります。

 

2. 就業規則には休職の対象者に関する規定はないが、試用期間中の労働者には休職を認めず、退職させた。

→休職の対象を限定していないのであれば、試用期間中であっても休職の規定が適用され、退職扱いは無効となります。

 

3. 業務外傷病の休職事由は連続欠勤が2か月続いた場合を規定しているが、うつ病により断続欠勤を繰り返すので、休職させた。

→断続欠勤を繰り返すだけでは休職事由に該当しないので、労務提供不能の状態が継続するといった事情がなければ、休職命令は無効となります。

 

4. 業務外傷病の休職事由は連続欠勤が2か月続いた場合を規定しているが、うつ病により1か月半の連続欠勤をし、1週間出勤したら再度1か月連続欠勤したので、休職させた。

→欠勤が中断してから短期間に再度欠勤した場合は休職事由に該当しないので、労務提供不能の状態が継続するといった事情がなければ、休職命令は無効となります。

 

5. 休職中の生活状況や治療経過を報告させる規定がないので、うつ病を発病した労働者の健康状態が十分に把握できないまま、主治医の復職可能の診断書に沿い、復職させた。

→うつ病を再燃・再発させて再休職となるリスクが高く、復職後の労務管理を誤ると、休職期間満了により退職扱いとした労働者から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

 

6. 就業規則に再休職に関する規定はないが、うつ病から復職した労働者が1か月後に再びメンタルヘルス不調となり欠勤したので、休職の残日数分を休ませた上で退職扱いとした。

→休職期間は通算されないので、休職期間満了による退職扱いは無効となります。ただし、労務提供不能による解雇が認められる余地はあります。

 

7. うつ病の労働者が1か月に2回程度の割合で欠勤、遅刻や早退を繰り返していることから、「みだりに欠勤、遅刻または早退したとき」という懲戒事由に当たるとして懲戒処分を課した。

→「みだりに」との文言が曖昧であり、懲戒処分が無効になる可能性があります。

 

[Q&A]

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